予定不調和
21日間
サイレントプログラム
4日目
最初にハッピーちゃんが
日本人は特に
予定調和を求めたがる
だから予想外のことが起こった時に対処出来なくなり
自死する人が多いと
話してくれた
以前の私は
予定どおりに事が運ばないと
時に
癇癪をおこし
内面で怒り狂って
大暴れするような性格だった
一度外出するとなると
あれもこれもと詰め込んで
やる事リストと
移動時間や滞在時間を計算し
メモにこと細かに書いて
行動していた
自分自身の
タスクと時間管理が厳しいので
他人のルーズさが
まったく許せず
イライラして
相手が遅刻してこようものなら
不穏な空気を漂わせていた様に思う
順調な時はいいけれど
予測外のことが起こると
ストレスがたまり
怒りがたまり
やがて
体のいたるところが
ガチガチになっていた
生理も異常で
拳の大きさ位の経血の固まりが
頻繁に出るようになっていた
いま思えば
あれは女性性からのサインだったのに
病院に行かず
ずっと無視して
思考をフル回転させ
ハードワークをしていた
そしてやがて
心の声を無視し
自分の感覚や感情を
思考で押さえつけ
常識や他人の目
損得勘定を基準に
行動し続けた結果
私が
私の中にいなくなってしまった
なにが好きで
なにが楽しくて
なにを食べたいのか
好きな服装
好きな音楽
好きな風景
何もわからない
もちろん
少し先の未来に
何をしたくて
どう生きていたいのかなんて
もっとわからない
私の中に私がいない状態は
まるで
中身のないカカシや
わら人形みたいな感覚で
ずっと私ではない誰かを
演じ続けて生きている気分だった
だから
私には価値なんてないし
才能はもっと無い
誰かや社会に貢献することなんて
出来るわけがない
どんどんどんどん
自己価値が下がっていって
最後に残ったのは
女としての
私の体だけだった
でもそれすらも
価値がないような気がして
価値のない私を
傷付けたいと思った
最後に残った
女の私の体を
傷付けてしまいたい
毎日そんな衝動に駆られながら
悩み続けていた
そして私は行動に出た
本当に女としての私を
傷付け始めた
実行に移したその時は
何だかホッとした
あぁ、やっとこれで安心した
価値がない私が
受け入れられ
許され
認められたような気がして
でも
そんな安心感も
父親の死をきっかけに
崩壊してしまった
今度は激しい罪悪感が
私を苦しめた
現実が驚くほどに荒れて
心が疲弊し
記憶がなくなるほどに
私はおかしくなってしまった
泣いて
パニックを起こし
毎日ベッドの上で
この身を
消すことしか考えられなくなっていた
ある事がきっかけで
取り戻し始めはしたけれど
それも束の間で
親しい人
仲の良い人
私を理解してくれる人
自ら遠ざけ始め
どんどん孤独になって
誰にも助けを求められず
でも誰かに
助けて
助けてと
泣いて乞うていた
サイレントプログラム
4日目
今日現れた
あの心の叫び
誰か助けて
あれはあの時の私なのか
それとも
もっと古い記憶の私なのか
いずれにしても
もう手放す時が来たのだと思う
ずっと孤独で
誰かに対して怒っていた
その私は
やっと
目に見えるだけでなく
心の深い領域で
まだ会ったこともない人々とさえも繋がっている事を
感じられるようになってきた
私は
私たちは
そもそも粒の集まりで
肉体はあれど
みんな一緒で
繋がっているのだ
それは
いま肉体を持っているか
持っていないかは
関係なく
私たちは繋がっているのだ
だから
寂しさを感じる必要はないし
その粒の集まりを
信頼し
信用して
融合すれば良いのだ
瞑想の最中に聞こえてきた
私たちがいるから
大丈夫
あの声は
一万人の粒の声だったんだと思う
だから大丈夫
私もあなたも
大丈夫